江戸時代、庶民から大名までを虜にした新しメディア・浮世絵。
社会科でも習ったと思いますが、遠く離れたヨーロッパにも伝わり、モネをはじめとする印象派やゴッホなどにも大きな影響を与えました。
因みに、左が歌川広重「名所江戸百景 大はしあたけの夕立」で、右はそれをゴッホが模写した作品です。
浮世絵が西洋絵画に与えた影響については「ジャポニスム」という言葉を後で調べてみて下さい。
さて、ゴッホも模写した歌川広重「名所江戸百景」の中に国府台を描いた一枚があるのをご存知でしょうか。
歌川広重「名所江戸百景 鴻之台とね川風景」
画面右側遠方に富士山が描かれていますね。手前の大きな川はタイトルでは「とね川」(利根川)となっていますが、現在の江戸川です。
大きな帆船(高瀬舟)が列を連ねている様子が現わされています。利根川は北方の物資を江戸に運ぶ重要な水路としての役割を担っていたことが見て取れます。
広重の描いた浮世絵とは少し位置がずれますが、現在の国府台方面を江戸川下流方面に向かって見た写真です。
さて、もう一点気になることがあります。浮世絵のタイトルには「鴻之台」という漢字があてられています。
これも歴史で習ったと思いますが、下総国の国府が置かれたことから「国府台」という名が付けられたのが始まりです。
それが江戸時代となり、利根川(江戸川)にコウノトリが棲みついたことから「鴻之台」の字をあてたそうです。
歌川広重「名所江戸百景 鴻之台とね川風景」(部分)
さて、もう一度広重の描いた国府台を見てみましょう。川沿いに切り立った崖の上に3人の人物が描かれていますね。行楽客でしょうか。
現在ではこの場所は里見公園として桜をはじめとする四季折々の花を楽しめる大きな公園として整備されています。場所的には和洋国府台女子さんの方が近いですが、お天気の良い日に一度は訪ねてみて下さい。
因みに、中世、里見氏がこの地に居城を構えた場所であることから、里見公園の名前が付けられています。
尚、浮世絵には誇張がつきものですので、こんなに断崖絶壁ではありません。
最後にゴッホが模写した浮世絵をもう一枚ご紹介して終わりとしましょう。都内のある場所を描いたものですが、分かりますか?
梅や藤の花が有名で、すぐ近くに元祖くず餅船橋屋があるあの場所です!
国府台女子学院の周辺にも美味しいお菓子屋さんや和菓子屋さんがあります。いつの日かここでグルメ記事でも書いてみたいと思います。
※現在都内で大きな浮世絵の展覧会が2つも開催されています。ゴッホをはじめヨーロッパの人たちを魅了した日本が誇る文化「浮世絵」の本物を観られるチャンスです。
「The UKIYO-E 2020 ─ 日本三大浮世絵コレクション」
東京都美術館
https://ukiyoe2020.exhn.jp/
「おいしい浮世絵展~北斎 広重 国芳たちが描いた江戸の味わい~
森アーツセンターギャラリー
https://oishii-ukiyoe.jp/